大阪地方裁判所 平成5年(わ)3090号 判決 1994年2月15日
本店所在地
大阪市北区南森町二丁目三番二五号 本城ビル
柳生設備株式会社
右代表者代表取締役
福地文雄
本籍
埼玉県北埼玉郡北川辺町大字柳生一九〇七番地
住居
大阪府枚方市山之上北町四七番一八号
会社役員
福地文雄
昭和二三年八月二三日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官佐山雅彦出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人柳生設備株式会社を罰金二二〇〇万円に、被告人福地文雄を懲役一年にそれぞれ処する。
被告人福地文雄に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人柳生設備株式会社(以下「被告会社」という。)は、大阪市北区南森町二丁目三番二五号本城ビルに本店を置き資本金一五〇〇万円で、給排水及び空調設備工事業等を営むもの、被告人福地文雄(以下「被告人」という)は、被告会社の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと考え、
第一 別紙一修正損益計算書記載のとおり昭和六三年一一月一日から平成元年一〇月三一日までの事業年度における実際の所得金額が二九八一万三八九五円で、これに対する法人税額が一一五四万〇九〇〇円であるにもかかわらず(別紙四税額計算書参照)、売上の一部を除外するなどの行為により、右所得の一部を秘匿した上、平成元年一二月一五日、大阪市北区南扇町七番一三号所在の所轄北税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の総所得金額が二七二万八三八一円で、これに対する法人税が七九万七九〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出して法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により別紙四税額計算書記載のとおり法人税一〇七四万三〇〇〇円を免れ
第二 別紙二修正損益計算書記載のとおり、平成元年一一月一日から平成二年一〇月三一日までの事業年度における実際の所得金額が一億五五一四万三三三五円で、これに対する法人税額が六一〇四万四六〇〇円であるにもかかわらず(別紙四税額計算書参照)、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿した上、平成二年一二月二六日、前記北税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の総所得金額が七一一万六二三五円で、これに対する法人税が一九三万一一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出して法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、別紙四税額計算書記載のとおり、法人税五九一一万三五〇〇円を免れ
第三 別紙三修正損益計算書記載のとおり、平成二年一一月一日から平成三年一〇月三一日までの事業年度における実際の所得金額が七三〇二万八一五八円で、これに対する法人税額が二六一七万七四〇〇円であるにもかかわらず(別紙四税額計算書記載のとおり)、工事原価を過大に計上するなどの行為により、右所得の一部を秘匿した上、平成三年一二月二五日、前記北税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の総所得金額が一四二八万三〇二〇円で、これに対する法人税が四一四万八〇〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出して法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により別紙四税額計算書記載のとおり、法人税二二〇二万九四〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目) ( )内の漢数字は、検察官請求番号である。
判示事実全部について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する各供述調書(六五、六六)
一 被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書(四〇から四三、四五から、五〇、五二から五六、六〇から六二、六四)
一 藤岡伸子、吉田茂、山本則幸、川野芳久、樋口ヨシ、大平俊昭の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 大蔵事務官作成の各査察官報告書(一〇、一一、一七、一九、二一、二三ないし二五)
一 登記官作成の法人登記簿謄本(三六)
一 検察事務官作成の捜査報告書(八)
判示第一、第二の各事実について
一 大蔵事務官作成の査察官調査書(一五)
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の証明書(四)
判示第二、第三の各事実について
一 大蔵事務官作成の各査察官報告書(一二、一三、一八、二〇)
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の証明書(六)
判示第三の事実について
一 大蔵事務官作成の証明書(七)
一 大蔵事務官作成の各査察官報告書(一四、一六、二二)
(法令の適用)
被告人の判示各所為は、法人税法一五九条一項に該当するが、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
更に、被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、各所為につき法人税法一六四条一項により同法一五九条一項所定の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用して罰金の額を免れた法人税の額以下とし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金二二〇〇万円に処することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 田中正人)
別紙1 修正損益計算書
<省略>
別紙2 修正損益計算書
<省略>
別紙3 修正損益計算書
<省略>
別紙4 税額計算書
<省略>